インボイス制度の注意点 その2
「売り手が負担する振込手数料相当額」についてです。
売掛金などの債権に対する入金があった際、
振込手数料相当額が差し引かれることがあります。
この時『(借方)支払手数料(消費税:課税仕入れ)』
などの“費用”科目で処理されている場合には、
インボイス制度開始後は、この振込手数料相当額について
①売上値引きとして処理する
②相手方からインボイスを受領する、もしくは仕入明細書を作成し相手方の確認を受ける
③相手方から振込手数料に係る金融機関からのインボイスと立替金精算書等を受領する
いずれかの対応が必要となります。
②については相手方の登録番号が記載された書類、
③については金融機関の登録番号が記載された書類が必要となるため
事務効率を考えると積極的に採用し難いと思われます。
①については、返還インボイスの交付が必要な取引ですが
税込1万円未満であれば交付義務が免除されているため、
実務上、最も効率的と思われます。
ただし、『(借方)売上値引(消費税:売上対価の返還等)』と処理すると
純売上高や費用科目がこれまでと変わることを避けたいという声をお聞きすることがあります。
その場合は、『(借方)支払手数料(消費税:売上対価の返還等)』と
消費税の区分のみを変更する方法も認められます。
なお、この場合の注意点は、その「税率」です。
値引の対象となった課税売上と同じ税率で処理する必要があります。
税率が10%の売上代金について振込手数料相当額を値引とする場合は、10%
税率が軽減8%の売上代金について振込手数料相当額を値引とする場合は、軽減8%
税率が混在する場合は、その売上の比率で按分して、それぞれ10%&軽減8%(・・・!)
方針と対応を確認しておきましょう。